高齢者と地域社会
私たちの地域社会は時代とともに大きく変化してきています。
社会・産業構造の変化とともに、家族形態は核家族化の進行で、一人暮らしや二人暮らし高齢世帯が増加し、地域社会における人々の結びつきも地縁・血縁、土地を介したものから市民としての個々なものへと変ってきました。今後の高齢社会において私たちは地域社会とどう関わっていくべきなのでしょうか・・・
地域社会への関わりと健康余命
地域社会と積極的に関わりをもつ高齢者ほど健康余命が長いことが知られています。地域社会との関わりは「社会参加」・「地域共生意識」・「近所づきあい」という要素を含んでいます。
地域共生意識
「地域共生意識」とは、地域の人々と何かすることで自分の豊かさを求めたい、近所に一人暮らしの高齢者がいたら何かをしてあげたい、町会や自治会の世話をしてくれと頼まれたら引き受けてもよい、といったいわゆる同時代を生きる人々と手を携えて生きていこうという意識です。
都内のある地域で行った調査では高齢者の約1/3が「はい」と答えており、潜在的に地域共生意識は高いことがわかりますが、超高齢化に伴い、私は、地域共生意識は、あっても健康上の理由から、その低下の現象がおきています。
近所づきあい
高齢社会では制度、政策のみで安心した生活を送ることはできません。それらでカバーしきれない領域に高齢者や地域の力が必要なのです。その意味で「近所づきあい」にも目を向ける必要があります。
高齢者のふだんの「外出頻度」は総合的な健康指標の一つです。外出の機会が多い高齢者ほど身体・心理・社会的側面の健康度が高く、のちのちも健康度を維持しやすいという研究があります。
外出頻度の多寡(たか:量)にはいろいろな要因が影響しますが、地域での「近所づきあい」の有無もその要因の一つです。特に年齢が高くなり、からだが不自由になってくると近所周辺が外出先となります。そうした時期に「ご近所さん」があると外出の機会につながり「閉じこもり」が回避できるのです。
高齢社会において安心し充実して暮らす上で「地域社会」は重要な要素です。その意味で「地域共生意識」や「近所づきあい」は私たち自身が見直すべき課題といえるでしょう。
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