花は語らず
「花は語らず」…柴山全慶
「花は黙って咲き 黙って散ってゆく
そうして再び枝に帰らない けれども
その一時一処にこの世のすべてを託している
一輪の花の声であり 一枝の花の真である
永遠にほろびぬ生命の喜びが悔いなくそこに輝いている」
花は黙って咲いています。「ここで咲いていますよ」「私を見てください」と自分をアピールしません。そして散るときも、散りたいとも散りたくないとも言いません。ただ黙々と咲き、散ってゆきます。
花は、その時、その場で、その生涯を生き切っているのです。それゆえ花は美しいのでしょう。綺麗に見えるのでしょう。花は何も語りませんが、そこに一輪の花の命の神髄が見えてくるようです。
散りやすい花は、無心に精一杯咲いているからこそ、そこに「真実」を感じるのです。そしてまた、この句は無常観を表し、その無常観こそが、永遠の真実です。
私たちに恵まれた、たった一つの尊いいのち…そのいのちの限りをつくし、いたわりあう心…己をふりかえる心…美しいものに感動する心…出会いに感謝する心…を大切にしたいものです。
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