物で栄えて心が滅ぶ
薬師寺の管長を努めた高田好胤さんは、40年も前に「日本は物で栄えて、心が滅ぶ」という言葉を残されました。
昨日の新聞で「14年度税収53兆9000億円台…17年ぶり高水準」・「日経平均株価、18年半ぶり高値水準 ITバブル超える」…活字が躍っていました。
だが、一般庶民は経済が良くなって暮らしが楽になったという実感がない人が多いのではないでしょうか…しかし、日本は世界の中では物質的にとても恵まれた環境にあることは間違いありません。
思うに…清らかで美しく親切で心豊かなかつての日本人の面影は少しずつ消えていると多くの識者たちは指摘をしています。まさに「物で栄えて、心が滅ぶ」状態です。
我々は今「日本を覆いつつあるモラルハザード(道徳的・倫理的な退廃)をどのようにして払拭するか」という深刻な課題に直面しているのです。人間にとって、教育にとって一番大切なものは何でしょうか…
“知育”も“体育”も大切です。しかし今一番大切なのは「心の教育」すなわち“徳育”だと思います。豊かな情操を養う人間性の教育です。
40年以上も前に指摘をされた「日本は物で栄えて、心で滅ぶ」という指摘があながち間違っていない…そんな思いが私たちの心の中に生まれつつあります。心の荒廃を食い止めなければならなと思っています。
現代人は余りにも即物的で物に頼りすぎ、見えざる存在に恐れを感じたり、畏敬の念を懐くことも忘れてしまったようです、「物で栄えて心で亡ぶ」という現実を直視し、反省しなくては…この世知辛い世の中に潤いを取り戻していくことは、難しいように思います。
« こころざし教育 | トップページ | 向う三軒両隣の精神 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント