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2012年6月18日 (月)

ネット時代の「青い鳥」

06oga_toga11 現代の若者は、価値観、人生観などはどう思っているのだろうと興味を持つところであるが、時代が変われば、考えも変わる。むかしのような画一的な考えはないようだ。

そして、ネット社会は益々進化して、選別型社会で、自分で取得したライセンスを“かざし”自分自身で選択していく時代になったと言えよう。

今日の東京新聞社説に
週の初めに・・・ネット時代に「青い鳥」を読んで思った。

内容・・・
若い世代を中心に「希望論」「幸福論」が盛んです。東日本大震災の影響もあむかしのりますが、「失われた二十年」を経て、青い鳥探しが本格化しています。

「十分な収入が得られるか」-約83%の若者が不安に思っています。「仕事」「景気」「老後の年金」にも80%強が不安を抱いています。今月発表された二〇一二年版「子ども・若者白書」に掲載された内閣府調査(十五歳から二十九歳までを対象)の結果です。

ところが、いま活躍中の若手評論家や社会学者の受け止め方は、必ずしもそうではありません。

◆駄目なのはシステム
「希望論」(NHKブックス)という対談形式の本の中で、ともに三十歳代前半の評論家とリサーチャーは、こういっています。

宇野常寛氏(評論家)「希望という言葉そのものに『こんな世の中だから希望が必要』というニュアンスが入ってしまうことには抵抗したい。むしろ希望自体は満ち溢(あふ)れているのに、それを活(い)かせていない日本社会のシステムがダメだという話です」

濱野智史氏(日本技芸リサーチャー)「私はこの日本にこそ希望を見る」「いまこそ無数のイノベーションをもってして、現実の諸制度に揺さぶりをかける日が来ている」

二十七歳の社会学者、古市憲寿氏も、いま五十歳の人が若者だった一九八〇年頃と比べると「彼らのほうこそ『不幸』に見えてしまう」(「絶望の国の幸福な若者たち」講談社)といいます。「そんなに受験勉強頑張りたくないし、インターネットも携帯電話もない生活なんて考えられない」というのです。

三人の意見は若者の多数派ではないかもしれませんが、「最大多数の最大幸福」追求という横並び重視の目標が達成困難な時代に入ったと思わざるをえません。

◆進む「選別型社会」
たとえば雇用問題。良い学校に入り、良い会社に勤めることが幸せな人生につながる-多くの日本人は長年、そう考えてきました。戦後の江田ビジョン(「日本の憲法、英国の議会制民主主義、米国の生活水準、旧ソ連の社会保障」を理想とした故江田三郎旧社会党書記長の構想)に代表される「国のかたち」論。従来型の発想なら終身雇用、定年延長などが夢実現の有力な武器になるはずです。

だがバブル崩壊後、人件費削減という企業側の思惑と、自由な働き方を求める若者の価値観とが奇妙に重なり合い「非正規」という雇用形態が急増。その結果どうなったでしょう。横並びの定年延長でなく、企業は必要とする人だけ残ってもらう、逆に能力ある人はさっさと別の仕事に転職する「選別型社会」に変ぼうしつつあるのですアメリカンドリーム対ブータンの幸福指標といった対比論議は、もはや日本の現状分析に適合しなくなっています。

高度経済成長期の「総中流」的幸福論ではなく、若手評論家がいうように「無数のイノベーションで現実の諸制度に揺さぶりをかける」ことが新たな幸福や希望につながるのかもしれません。

げんに海外に留学しなくてもネットを通じて外国語習得ができるとか、医療上の相談に応じてもらえるとか、同じ趣味の友人を無限に増やせるとか、八〇年代の若者とは比べものにならない「幸せ」が身近にあるからでしょう。

しかしスーパーなどが遠く日常生活にも支障をきたす「買い物弱者」が全国で九百十万人います。北海道や長崎県では人口の一割です(農林水産省調べ)。車も運転できず病院通いもままならない人々。高齢者のデジタルディバイド(情報操作技術の格差)を解消してネットを通じての買い物と宅配、医療相談など生活の利便性を改善することは十分可能なはずです。

また貧しくとも明日に希望が持てたアナログ時代の下町人情とか良い社会規範もデジタル社会の中で再評価すべきでしょう。

米政治哲学者のマイケル・サンデル氏は先に日本記者クラブでの会見で「東日本大震災のがれき処理をどうすればよいか」と質問され、次のように答えました。

「スイスの村が核廃棄物処理場の候補地になった時、住民調査をしたら51%が賛成と答えた。村人たちに補償金を払うことを提案したら増えなかった。逆に賛成は25%に半減した。処理場受け入れは公共心からであり、カネを絡ませることは逆効果になる」

◆脱バーチャルの世に
ネット社会は、とかく仮想現実の空間と理解されがちでした。だがゲームやチャットだけでなく、現実社会を変えられる実例を積み重ねることが重要です。そうすれば「不安」を抱く80%の若者たちも、将来に向けて「青い鳥」を発見できるに違いありません。

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コメント

若者には頑張ってほしいですよね、
大変な時代かもしれませんが。。。

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