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2011年6月15日 (水)

日本の物づくりに自信を取り戻せ

常々思っていたことだが、日本の物づくりの技術は世界最高と思っていたのだが、最近、振興途上国、特に韓国・台湾など追い上げで日本の地位が危ぶまれる報道が席巻している。私は、そうではない。日本の力はまだ落ちていない。自信を取り戻し胸を張っていいと思う。

自然科学部門のノーベル賞の受賞の数でも、アジアではトップ14人で、アジアではトップである。
NHKの15日午前3時のニュースで、「アメリカの先月の小売業の売上高は、東日本大震災の影響で自動車部品の供給などに支障が出て、自動車関連の売り上げが落ち込んだことなどから、前の月に比べて0.2%減少し、11か月ぶりのマイナスとなった。」とあった。日本の物づくりは、世界に大きな影響を及ぼしているのだと思う。

しかし、安閑としてはいられない、日本は震災から、復旧・復興を急いで、物づくりの技術を更に高め、世界の人々の暮らしの向上に自信を持っていくべきだ。

今日のyahoo!のクローズアップ欄から・・・
「日韓逆転」の勘違いから抜け出せ」ニューズウィーク日本版本誌5月18日号より・・・長年培った技術力はどの国にも負けていない。発想と戦略を変えれば底力で再起できる。知久敏之(本誌記者)

東日本大震災は日本経済、特にその基盤を支える製造業に深刻なダメージを与えた。全国のサプライチェーンが寸断され、電力不足も続いている。問題が解決するまでには、まだ数カ月はかかるとみられている。

しかし、日本の製造業の課題は震災前から明らかだった。韓国をはじめとする新興の工業経済地域の猛追によって、世界のトップを走ってきた日本は製造業における国際競争力を失ったのではないかと危惧されていた。

昨年、日本の音楽チャートを韓国のポップスグループが席巻した。音楽業界に限らず、最近の韓国は元気が良い。昨年のG20首脳会議(金融サミット)では議長国を務め、韓国メーカーの存在感は世界で高まっている。日本の新聞には、対抗心をあおるかのように「日韓逆転」の見出しが躍る。

それが数字にはっきりと表れているのは製造業だ。かつて日本のメーカーが独占した薄型テレビの世界市場は、06年に韓国のサムスン電子がシェアトップを奪い、以来韓国勢が上位を占めている。

だが韓国の人々が勝ち誇っているかというと、そうではない。朝鮮日報は昨年3月、「日本の『韓国に学ぼう』に浮かれてはいけない」という社説を掲載。この中で「日本と韓国の間には簡単には超えられない格差が今も相変わらず存在する」と、冷静な見方を促している。

その格差とは何か。例えば製造業における技術の先進性を示す特許収入で比較してみると、08年の日本の収入は257億ドルで、24億ドルの韓国の10倍以上に達する。また日本では自然科学部門のノーベル賞を14人が受賞しているが、韓国では1人も受賞していない。

さらに今回の震災で、日本の製造業の競争力の高さが図らずも明らかになった。日本から輸出される製造部品の供給が滞ったことで、世界中のメーカーが操業を停止する事態に陥ったからだ。

日本が抱える問題は技術力の低下ではない。底力が失われたわけでもない。その実力をどう生かすかという、戦略や発想に問題があったのだ。「長い伝統に培われた日本の技術はどこにも負けていない。環境の変化に対応できなかったことが日本企業の敗因だ」と、東京大学大学院ものづくり経営研究センターの吉川良三は言う。

吉川は、この10年で製造業をめぐる世界の環境が激変したと指摘する。まずグローバル化によって主要な市場は先進国から新興国に移り、顧客のニーズが変わった。新興国の消費者は高機能より低価格の商品を欲しがる。「いい物を作れば売れる」という日本企業の思い込みは通用しなくなった。

■高い技術力を生かす道
さらに製造工程のデジタル化で、新商品の開発にかかる時間とコストが大幅に削減され、顧客の細かいニーズに対応する豊富な種類の商品展開が可能になった。グローバル化とデジタル化というこの2つの変化に、日本企業はうまく対応できなかった。

吉川の元には今、日本中の経営者から講演依頼が殺到している。それは吉川が、94年にサムスン電子の常務に就任して業務改革の指揮を執り、その後の躍進をつぶさに目撃してきたからだ。

サムスン電子は97年のアジア通貨危機をきっかけに、徹底的な業務改革を行った。新興国のニーズに応える商品展開を進め、例えば使用人に食料品を盗まれる恐れがあるインドで鍵付きの冷蔵庫を大ヒットさせるなど、世界市場でシェアを確実に伸ばしていった。

日本に欠けていたのは、変化する世界の現状と真摯に向き合う姿勢だった。携帯端末の例に見られるように、日本のものづくりは国内と先進国のニーズばかりを先取りしようと「ガラパゴス化」し、低価格で必要最低限の機能を求める新興国のニーズを顧みなかった。

しかし、ガラパゴスと揶揄された日本のやり方は、韓国だけでなく各国をしのぐ高い技術力の裏返しでもある。いま求められているのは世界の現実を知り、新たな発想で底力を生かすことだ。吉川は、「日本企業は必ず再生する」と確信している。日本の経営者の多くが「このままでは生き残れない」という強い危機意識を持ち始めているからだ。

震災後の日本が、変化する世界の現実と真摯に向き合い、底力を発揮できるか。新たな発想で自らの殻を破るという強い覚悟さえあれば、できるはずだ。(ニューズウィーク日本版5月18日号掲載)

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