
最近、生活のリズムが一般常識からかけ離れてしまっている人が多いようです。朝夜が明けたら起き、日が沈んだら寝るといういわゆる自然に生きるという生活が出来ない時代です。
24時間開いているコンビにやスーパーが必用という昔だったら考えられないことです。そのため人間本来の生活パターンが狂ってしまっています。
現代病?いつも軽い疲れやだるさ、めまい、ふらつきなどを感じます。それが一過性に終わらずに慢性的になり、心の病を疑ってしまうような場合でも、日ごろの生活の仕方を改善するだけで、疲れが回復します。
まず問題になるのは生活のリズムを正常にすることによって治ッたという経験は誰でもあると思います。生活リズムということは、たいしことはないとお思いになるかもしれないが、規則的な生活を見直すことが健康維持に大切です。
1日24時間の中で、起床や就寝、入浴、食事の時間を一定にし、適度に休息の時間を設けるようにするだけでも、かなりの疲れがとれて症状が改善します。それが、薬では、治らない病気でも薬以上の効果があります。
1日を規則的に生活するということは、日の出から日の入りまでの自然に調和して過ごすということで、これは1日に限ったことではなく、1週間、1ヶ月、季節、1年と長期に延ばして考えることができます。
さらに、調和して生活する対象は自然だけではなく、家族や友人など周囲の人間との関係、あるいは社会についてもいえます。私たちは一人で生きているのではなく、家族や社会の一員として生きているので、その構成員として全体のリズムと調和しているかどうかも見直す必要があるのです。
また、疲労の背後に仮面うつ病などの心の病が見つかって治療を受けるようになった場合でも、生活の仕方の改善を行うことが大切です。患者さん自身がふだんの生活にひそむ問題点に気づき、自分で改善していかなければ、本当の治療にはならない。
こうした規則的な生活、リズミカルな生活とともに大切なのは、ゆっくり生きる、別の視点を持つということです。心の病に陥りやすい人の特徴は、急いで生きている、立ち止まることを知らないことが多いのです。
日本の社会では、わき目もふらず仕事に打ち込むことが美徳の一つとして高く評価されていますが、実はそうした生き方が心の病の大きな原因になっています。
それを防ぐには、少しでも身体の不調を感じた時には、走るのを止めて立ち止まる。そして、自分の現在、過去を見つめ直す。そうすると、今ぶつかっている壁の向こう側へ行くには、無理に壁を突き破らなくても、わきのほうに通り抜ける道があるかもしれないと考える余裕がでてきます。つまり、別の視点をもてるようになります。
別の視点をもつということは、物事を多面的に見たり柔軟に考えるということである。いったん設定した目標は何が何でも達成しようと歯を食いしばるのではなく、難しさを感じたら目標を設定しなおしたりハードルを低くしたりして、うまくいかなかった場合のダメージをいくらかでも小さくする工夫も必要であります。
適切な表現ではないが、困難な状況を「かわす」「はぐらかす」ことも、疲れをため込まないためには大切な生き方なのであります。(参考:暮らしと健康 第56巻 第11号)