グローバル化した世界・・・関係ないと思っていた国々で起きている問題も日本国民にとっても影響は、私達の生活まで及ぼす時代である。今中東の国々の動向に目が離せない情勢にある。
NHKのニュース解説などから・・・
大規模な反政府デモが続いているエジプトでは、1日、首都カイロで新たに100万人規模のデモが計画されるなど、混乱は収まりそうもない。政府は野党勢力と対話を行う考えを初めて示し、事態の収拾を図る姿勢を見せているが、混乱が収まるかは予断を許さない状況である。
アメリカから見れば、ムバラク政権は、中東政策を進めてゆくうえで、重要なパートナーだった。中東和平交渉が行き詰まれば、イスラエルとパレスチナの間で仲介役を務め、国際テロやイスラム過激派の取り締まりにも協力してきた。
ムバラク大統領の長期独裁政権が腐敗し、民衆を抑圧したことに気づいていても、目をつぶってきた側面がある。そのムバラク政権が終焉を迎えるのは、仕方がないとしても、問題は、後に続く政権がどういう政権になるかが問題となってくる。いつまでも新しい政権ができず、エジプトの政治が大混乱に陥ることも、反米政権ができることも、アメリカとしては困る。
さらに困るのは、イスラム原理主義勢力が政権を握ることで、特に、イスラム過激派が勢力を拡大することだけは、なんとしても避けたい。これが、アメリカが抱えているジレンマである。
今回の事態を受けて、クリントン国務長官が、エジプト政府に対し、市民のデモを武力で鎮圧しないようくぎを刺すとともに、自由で公正な選挙で、民主化を実現させるよう求めてきた。
国民との対話による改革で、人々の不満が解消されるよう望むアメリカのオバマ政権は、重要なパートナーであるムバラク大統領についての直接の批判は避けつつも、民主化改革を、一時の猶予もなく、速やかに行うよう、促している。
もし、エジプトのムバラク政権が倒れた場合、その影響は、チュニジアとは比べものにならないほど大きい。アラブ諸国で連鎖的に政権が倒れる可能性があり、中東地域を安定させてきた重しが外れ、アメリカの世界戦略にも深刻な影響が出る恐れがある。
チュニジアやエジプトでの出来事に触発されて、アラビア半島のイエメンでも、反政府デモが起きている。デモの参加者は、サレハ大統領の退陣を公然と求めている。サレハ大統領は、南北イエメンが統一して以来、21年間政権を握り、反対派を弾圧してきたが、これまで考えられなかった光景である。
イエメンは、北部にイスラム教シーア派の反政府運動、南部に分離独立運動をかかえ、国際テロ組織「アルカイダ」の拠点ともなっていた。今後の情勢次第では、いわゆる「破綻国家」になる恐れもある。
さらに、アルジェリアやヨルダンなど市民の抗議行動は、アラブ各国に飛び火している。今後、エジプトをはじめ、アラブ世界の動向から目が離せない状況が続きそうだ。