明窓浄机・・読書・・
明窓浄机(めいそうじょうき)明るい窓と清潔な机。転じて、学問をするのに適した明るく清らかな書斎。すがすがしい書斎の形容で、読書人の心得である。
北宋(そう)の欧陽脩(おうようしゅう)の文に、友人の蘇舜欽(そしゅんきん)の言葉として「明窓浄几、筆硯紙墨(ひっけんしぼく)、皆精良(みなせいりょう)を極(きわ)むれば、また自(おのず)から是(こ)れ人生の一楽なり」と見える。几は机と同じ、つくえ。
明るい窓のもと、けがれのないさっぱりした机で、使う筆も硯(すずり)も紙も墨(すみ)も最良のものであれば、こんなに楽しいことはない。
蘇舜欽は蘇(そ)州(江蘇省)に倉浪亭(そうろうてい)という庭園を築いて悠々自適の生活を楽しんだ。欧陽脩も除(じょ)州(安徽(あんき)省)で豊楽亭(ほうらくてい)などを構えて自然の風趣に浸った。このような風雅な文人の生き方を象徴するのが、書斎の「明窓浄机」である。 ・・・・・(全国感字教育学会長石川忠久氏)・・・桜美林大学名誉教授
(産経新聞主張より)文化庁が先ごろ発表された平成20年度の「国語に関する世論調査」報告書によると、1カ月に何冊本を読むかとの問いに、「読まない」と答えた人が46・1%にも上った。14年度調査に比べて約9ポイントも増えており、国民の「読書離れ」が急速に進んでいることがうかがえる。
最近は、若者世代を中心にした「ケータイ小説」の流行などで、“本を読む”というスタイルは、「読書」のイメージを一変した。
ケータイ小説の文章については、日本の豊かで伝統的な国語とはかけ離れた粗雑なものが目につくらしい。規制することは出来ないが、関係機関で、「国語が日本文化の基盤である」と明示されている通り、読書の意義については何より、文化を育てていくような美しい国語との出合いと大切さが重要だ。
とくに子供には、そんな意義を見失わない読書習慣を身につけさせたい。日本の文化や習俗に根ざしながらも今では消えつつある言葉に数多く触れさせることを強調すべきである。
未知の言葉に出合った子供はそこで活字を追う目を止め、さまざまに想像し、考え、感じるだろう。感性や読解力というものは、そうした経験の積み重ねによって磨かれる。
「今の子供は知識を詰める時間はあっても、自分で考える時間がない」と指摘した。「知る」読書ももちろん重要だろうが、秋の夜長に「考え、感じる」読書は最適でもある。