人材育成には大胆な投資を
資源のない島国日本は、技術と勤勉さで生き残って来た。原材料輸入し付加価値をつけて輸出していた。そして日本は最先端で走ってきたが、世界各国の追い上げが激しくなって、肩を並べてきた。
朝日新聞(社説)でも取り上げているが、「人材育成に大胆に投資を」と訴えている。経済力の基盤は「人」だ。戦後日本の成長を支えたのも、勤勉で質の高い人材だった。
学校を卒業し就職する。職場で仕事を一から教わり、一つの会社で正社員として定年まで働くのが当然だった。
いまの若者に、そんな人生モデルはまねしたくてもできるはずもない。大卒で就職しても4割が3年以内に辞める。高卒だと5割にのぼる。大卒者の1割は、就職も進学もしない無業者となる。昨今の冷厳な現実だ。
企業は社内で若者を育てる余裕を失ってしまった。経済のグローバル化で、求められる能力も多様化している。日本が生き残るためには、次代を支え、切り開く人材を社会全体で育てあげねばならない時代になった。そのためには教育システムの根本的な見直しが必要だ。
今回の総選挙でも地方分権が大きな争点になっている。首都と地方の格差が大きくなっている問題を解決するにも人材の不足問題がある。
毎日新聞(社説)でも、自民党は道州制を17年までに導入することをうたい、民主党は都道府県を残すものの、基礎自治体である市町村への大幅な権限と財源の移譲をマニフェストに盛り込んでいる。だが、いずれも欠けているのが人材の育成、確保だ。
日本の近代化は、人材を中央に集中させることによって達成された。その結果、大都市部では過密が進む一方で、地方では過疎化が激しい。こうした傾向に歯止めを掛けようと地方分権が叫ばれて久しい。税源や権限の分権が進めば、自治体は自らの創意工夫が必要となり、支える人材が何より求められる。
目先の問題と将来の問題を考えて見ると、どうしても目先に問題を取り上げてしまう傾向がある。あさはかな人間の心理である。政治家たるものは、現状を見据えて、将来を考えることが必須である。従って日本の歴史から見ても、有能な人材の育成は欠かせない。人材育成えの投資を大胆に行い。将来を見据えた日本の姿を描いていくべきだ。