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2009年6月11日 (木)

蛍の郷愁

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今日の名言

不幸のうちに初めて人は、自分が何者であるかを本当に知る。
ツワイク『マリー・アントワネット』(上)

05ainokura11蛍死す金平糖になりながら 中島砂穂

なんともはや奇想天外。世に蛍の句は多けれど、蛍の死をこんな風に詠んだ句にはまずお目にかかれない。蛍の醸し出すイメージは、恋に身を焼く蛍かな、のように自らの恋心を重ねたり、死んだ人の魂を託したりと思い入れたっぷりに使われてきたように思う。

死んだ蛍を詠んだ句では永田耕衣の死蛍に照らしをかける蛍かながあるが、凄みがあり妖気溢れる蛍の光景である。掲句では、そんな蛍の見方をうっちゃって、息絶えて地面にぽたりぽたりと落ちた蛍が金平糖になってしまう。

蛍が放っていた光が金平糖の突起になって固まってしまうなんて漫画チックな展開だ。掌にこぼす色とりどりの金平糖が闇を飛び回っていた蛍だと思えば、金平糖の甘さにほろと苦い哀感が隠し味として加わりそうだ。『熱気球』(2008)所収。(三宅やよい)

思い出も 幻になる 蛍かな

兄が倒れ入院して1週間である。CCUで、延命装置を付けて、蘇生を願っているが意識は幻のようで、呼びかけに薄目を開けるぐらいである。

病室の窓から、外を眺めて、子供の頃、兄と蛍取りに行ったことを思い出した。遠い昔となってしまった。竹箒と虫かごを持って川の淵を飛び交う蛍の光を追う。今兄の思いも、点いたり消えたりの意識の中で、静かだが懸命に、再び飛び立とうとしている蛍そのものようだ。

近くの梅園に、小梅の熟れて黄色くなって地面にごろごろしていた。持ち主が忙しく手の回らないのか、それとも今年は漬けないでおくのか、何かもったないような気がする。

兄と梅と、蛍を連想して昔を偲んで、しばらく、風で揺らぐケヤキの枝も兄にエールを送っているように感じ取ってしまった。

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