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2009年6月 3日 (水)

蛇のこと

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今日の名言

人生最上の幸福は、愛せられているという確信にある。
ユーゴー『レ・ミゼラブル』(一)

05tasiroike11蛇の衣草の雫に染まりけり 巌谷小波

十年ほど前に房総の山間を歩いていたとき、偶然に蛇の衣をまるごと見つけた。垣根にまだ脱ぎたてといった感じで、生なましく濡れて光っている衣に思わず息を呑んだ。まだ濡れている衣の生なましさと妖しい美しさ。おそるおそるそれを破れないように垣根からはずし、そっと持ち帰った。

頭のてっぺんから尾の先まで60cm余りあった。乾いてから額縁に入れて今も部屋に飾ってある。掲出句の「雫に染まりけり」の息づいているような美しさに、思わず目がとまった。朝まだきだろうか、雨があがって間もない頃の実景だろうか。そのものは蛇の「かわ」ではなく、まさに「きぬ」としか呼びようのない繊細さである。

「蛇の殻」とも呼ぶし、意味はその通りではあるけれど、「衣」のほうがあの実物にはふさわしい。「蛇皮」とは意味が違う。「蛇の衣」がもつ繊細さと「草の雫」の素朴な美しさ、その取り合わせが生きている。

富安風生の句に袈裟がけに花魁草に蛇の衣があるが、私が発見したそれも「袈裟がけ」という状態だった。蛇の脱皮は年に五、六回くり返されるという。マムシもアオダイショウもヤマカガシも、蛇は夏の季語。小波は白人会を主催して、軽妙洒脱な俳句をたくさん残した。「月細く山の眠を守りけり」。句集『さゝら波』がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)

帯のごと 青大将の 道渡る

キャーと奇声を上げた。山みちを散歩していたら前を歩く、50代の女性の方が大きな声で叫んだ。よく見ると、青大将が道を横切るところだった。なにか棒枝が落ちているような、真っ直ぐになっていたのだ。1.5メートルはあるだろう。ゆっくりゆっくり動いて藪の中に入っていった。艶々のベルトのようでもあった。

最近蛇を見かけなくなった。青大将・シマヘビ・ヤマカガシ・地もぐり・マムシなどがいた。最近は時々見られるのは、青大将ぐらいだ。それだけ蛇が住みにくい環境になったのだ。

マムシが釣瓶井戸で、青かえるを呑みこんでいる光景を見たことがある。60年前の事、子供の頃である。稲刈りをしてシマヘビを捕らえて、皮を剥き、焼いて食べさせられた。親父の得意げな笑顔を思い出した。

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