朴の木と柏餅
今日の名言
我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遥かに物深い。 |
柳田国男『遠野物語・山の人生』 |
朴の花朝の卵を二つ割る 河西志帆
東京では日中、夏のように暑い日が続いたけれどひんやり、さっぱりした朝晩の空気はこの季節ならではのもの。毎年開くのを楽しみにしている近所の泰山木の花はまだ固い蕾だけど朴の花が咲くのはいつごろだろう。
「群生する梢の先に黄白色の大きな花を開く」と歳時記にあるが、朴の葉は大きく茂るので、下から見上げても花の全容は定かでないだろう。それでも泰山木と同じく青空に凛と咲く立ち姿を想像するのも味わいがある。
「二つ割る」は卵の数であって、卵を二つに割るという意味ではないのだけど、卵をボールに割りおとしときの黄味の盛り上がりとぱかんと割れた卵の殻が朴の花のイメージと重なる。
初夏の爽やかな朝の空気と新鮮な卵を割りおとしたときの感覚がよくマッチしていて気持ちがいい。卵を割る何気ない日常の動作と朴の花。どこか手放せない新鮮な印象がこの取り合わせから生まれている。『水を朗読するように』(2008)所収。(三宅やよい)
吾が背子が 捧げて持てる ほほ柏 あたかも似るか 青き蓋(きぬがさ)」 恵行(えぎょう) 万葉集 (蓋)人間の善智や善心を覆い隠すもの。すなわち、煩悩。
もくれん科で、この木の蕾を見ると仏様に供える蝋燭の火(炎)をイメージしてしまうのだが、形が似ているからだろうか・・・?しかし五月の爽やかな青空に向かって突き刺すようなイメージでもある。
青い大きな葉っぱは、子供の頃丸めて水を飲んだり、泥団子包んで遊んだ記憶がある。柏餅で利用されている。 柏餅・朴葉焼きなどがある。
柏餅は、平たく丸めた上新粉の餅を二つに折り、間に餡をはさんでカシワの葉などで包んだ和菓子である。餡の種類は、粒餡、漉し餡のほか、みそ餡がポピュラーである。
5月5日の端午の節句の供物として用いられる。カシワの葉は新芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、「子孫繁栄(家系が途切れない)」という縁起をかついだものとされる。
元々は東日本の文化の中で育まれた物であり、柏餅が登場したのは徳川九代将軍家重~十代将軍家治の頃。その為、武家文化とかかわりが深い。
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