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2009年1月22日 (木)

オバマ大統領しなやかに・したたかに

Tombi061アメリカの人口2億8千万人の国、そして世界一経済大国である。世界に及ぼす影響は最大である。合衆国アメリカの歴史は新しい。オバマ新大統領が尊敬する第16代リンカーン大統領の奴隷解放宣言を行って146年。初の黒人のオバマ大統領の就任演説は、様々な記念碑が立ち並び、アメリカの歴史が凝縮された首都ワシントンの緑地帯ナショナル・モールに響き渡った。200万人の観衆だったという。

朝日新聞社説(参考)・・・経済危機など現実の厳しさを率直に認めたうえで、「アメリカよ、それは解決できる」と、米国民に勇気をもって試練に立ち向かうよう求めた。 オバマ新米大統領が国民に直面する困難の重さと、指導者としての責任感がそうさせたのだろう。

そんななかに「すべての国の皆さんや政府に知ってほしい」という異例の呼びかけがあった。 イスラム世界に対し「私たちは、新たな道を模索する」と述べ、これまでとはアプローチを変え、共通の利益と相互の尊敬に基づく関係を築きたいという。

9・11同時多発テロから端を発し、それ以来イスラム教の偏見から、フセイン大統領のイラク戦争発展した。イラク戦争で4千人を超える米軍兵士が命を落とした。イスラムとの対話を呼びかける新大統領の言葉を、米国民も納得して聞いたのではないか。

今から思うとブッシュ元大統領には、冷静さが欲しかったと思う人はアメリカでは増えてきて、あの戦争は間違っていたという人も多くなった。

公約したイラクからの米軍撤退を軌道に乗せ、戦争の収束に誠実に取り組むことがイスラム世界の対米不信を解く第一歩だ。イスラム世界もこの絶好の機会を真剣にとらえて、対話に踏み出してほしい。

ブッシュ政権が敵視してきた独裁政権などにも、手をさしのべる用意があると表明した。北朝鮮やイラン、キューバなどが念頭にあるのだろう。オバマ氏は、途上国の貧しい人たちにも呼びかけた。日本などの先進国には、貧困や環境・資源問題にともに取り組もうと語った。

目新しい主張ではないけれど、ブッシュ時代には欠けていた他者への共感と謙虚さを感じさせた。国際協調主義への明確な転換である。

「世界が変わったのだから、米国も変わらなければならない」。この難題をどう実行して見せるか、世界は期待しつつ注視している。

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