除夜の鐘
除夜の鐘幾谷こゆる雪の闇 飯田蛇笏
雪国の、そして山里に除夜の鐘が鳴り出した。その音色は、谷から谷を経巡りつつ谺しながら、殷々と鳴りわたる。山国に暮らす一人一人の心に静かに染み渡るかのようにその音は谷々を越えて行く。掲句の格調の高い調べは、除夜を迎える心にいかにも適い、1年のけがれが浄化されていく思いを自ずから伝える。
雪降る静かな闇夜間を引き裂くかのような除夜の音は、何処から打ち出してくるのだろう。ズシーンと思いを揺り動かす。今年一年の悪事が清浄される思いである。
私の住んでいるところではない、永平寺の除夜の鐘で有名な大梵鐘は、ゴーンと鳴って余韻がすっかり消えるまで1分50秒かかるそうです。
百八の鐘とも言う。除夜の夜、百八の鐘を撞き、百八の煩悩を一つずつ消してゆく年中行事である。行く年来る年を厳かな鐘の音色が鳴りわたる。1年の良い事悪い事のすべてを除き、清浄な心で新しい年を迎えるのである。
一年の区切りと言う解釈でも構わない。とにかく、諸々の一年の出来事を払拭して、平和な世の中に清浄にして希望と勇気を与えてくれる。
何が何んであろうと時は巡り来て過ぎ去って行く、「幸せ」とは何だろう。もう一度考え直して見ては如何だろう。
東京は良く晴れ星がきれいな、夜空である。2008年12月31日18時10分記す。「生かして頂いて有難う。」
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