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2008年9月 5日 (金)

川辺川ダム 住民を脅して造るのか

05tasiroike11東京新聞社説より、住民の生命と財産を守り安全な国土を築くのが、国土交通省の役目のはずだ。十分な情報提供に基づく住民の合意を待たずに、脅迫まがいの手法で特定の事業を押し付けるのが許されるのか。

完成すれば九州最大規模の川辺川ダム(熊本県)をめぐる論議が再燃した。理由の一つは、国交省の岡本博・九州地方整備局長が蒲島郁夫・同県知事に「ダムを建設しないことを選択すれば、流域住民に水害を受忍していただかざるを得ない」と言ったことだ。

「何が何でもダムを造る」との本音が出たのか。川辺川を含む球磨(くま)川水系の河川整備計画は策定手続きに入ってもいないのに、ダムを前提にした上「反対なら水害に甘んじよ」と住民を脅迫、建設賛成を強要したともいえる。

三重、滋賀、京都、大阪四府県にかかる淀川水系四ダムも、同省近畿地方整備局は自らの諮問機関・淀川水系流域委員会の意見を無視、ダム建設・再開発を盛った整備計画案を公表、関係知事との協議を進めている。最近の国交省は高圧的な姿勢が際立つ。

川辺川ダムは一九六六年、旧建設省(現国交省)が計画を発表した。しかし、農家の同意署名でっち上げなど手続きの不正で二〇〇三年五月、ダムによる利水事業が違法との判決が確定、利水と発電が抜け、治水だけが残ったいわく付きの計画である。

地元県の蒲島知事は近く開会の九月県議会で意見を表明するが、計画を残すにしても、単なるつじつま合わせは許されない。

河川整備の目的は何か。建設業界を潤したり、整備局の組織や職員を温存するためではない。住民の生命と財産を守るためだ。

国交省には河川整備の分野に優れた知識、技術を持った人材が多い。それならそのノウハウを生かし、住民を守る複数の選択肢をまず立案すべきである。

川辺川ダムの事業費は三千数百億円と巨額である。スタートし、有害無益と分かっても後戻りできないのでは大変だ。ダムとそれ以外の治水対策の長所、短所や費用対効果の情報を全面的に公表し、多くの住民の合意を得た方策を採用するのが妥当だろう。

絶対にダムを造るなとは言わないが、十分な情報提供による住民の理解を求めず、初めからダム建設の押しつけは許されない。成田空港、長良川河口堰(ぜき)など公共事業をめぐる近年の論議を無視、強権的手法に逆戻りしてはならない。

国交省の岡本博・九州地方整備局長の腹の内は、なんであろう。住民の生命と財産を守り安全な国土を築くのが、国土交通省の役目のはずだ。歴史に残る事業をする。当面の事業をすることで、地域の活性化を狙っているのだったら、長い歴史観や、環境などにも考慮する必要がある。

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