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2008年8月14日 (木)

「縮む消費」業績圧縮、内食回帰、車離れ

447141フジサンケイビジネスアイより

4~6月期の実質GDPが4四半期ぶりにマイナス成長に低迷し、景気後退が裏付けられた日本経済。消費者は値上げラッシュやガソリン高騰で節約志向を強め内にこもり、消費の現場では“異変”が相次ぐ。「縮む消費」が企業の業績を圧迫している。

食品卸最大手の菱食によると、小麦高騰で値上げされたカップめんの今年上期の出荷は前年を下回ったが、同じように値上がりした乾めんのパスタは前年を上回った。1食当たりの値段は大きく変わらないが、ソースなどを工夫すれば割安でおいしい食事が味わえる。

「消費者の嗜好(しこう)は、家庭で料理する『内食』になっている。自分で作ったという満足感もある」と中野勘治社長。

伊藤園では、家でお茶をいれて飲む人が増えたため、麦茶のティーバッグが前年比5割増の売れ行き。54パック入りが2リットル入りのペットボトルと同等の200円前後で、「お得感」は大きい。一方で、清涼飲料の売れ行きは不振。キリンビバレッジは、今年の販売計画を13%増から2%増に下方修正した。

九九プラスが展開する生鮮コンビニのSHOP99ではしょうゆは1リットル入りより500ミリリットル入りが、キャベツは1個よりも半分や4分の1にカットしたものが売れている。深堀高巨(たかひろ)社長は「値段的には割高になるが、残したらもったいないと思う意識が働いている」と分析する。7月の既存店売上高は7%増。「節約志向が追い風になっている」と深堀社長。

日本ケンタッキー・フライド・チキンでは、全店の40%を占めるドライブスルーの売り上げが激しく落ち込んでいる。渡辺正夫社長は「クルマで外出しても一カ所で買い物を済ませ、寄り道しない。35歳以上の女性の購買が減っており、家計を預かる主婦方の財布のひもは固い」と頭を抱える。

ガソリン高騰で今年上期(1~6月)の新車販売台数(軽自動車含む)が1・9%減と3年連続のマイナスとなった自動車業界。ホンダの近藤広一副社長は「クルマの購入意欲が落ちている」と弱気だ。

鋼材など原材料費の高騰を受け、トヨタ自動車は一部車種の国内値上げを検討中で、踏み切れば、日産自動車など他社の追随は必至。自販連は「新車販売が冷え込む要因がさらに増える」と警戒を強める。

景気が後退局面に入り賃金アップは期待でない一方で、物価上昇が続くなか、消費者は生活を守ろうと懸命に知恵と工夫を凝らす。原材料高が企業の業績を圧迫しているが、価格に転嫁し値上げすれば、消費者はさらに身を縮め、業績は一段と悪化する。“負の連鎖”をどう食い止めるのか。企業は試練に直面している。

それでも、手軽で便利な生鮮コンビニのように節約志向の中にもビジネスチャンスはある。トヨタのハイブリッド車「プリウス」は値上げしても人気は衰えないだろう。企業の知恵と工夫が試されている。(景気取材班)

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