景気動向指数の問題
朝日新聞社説より 戦後最長と言われた景気が、いよいよ後退局面に入ってきたようだ。内閣府もきのう、景気動向指数の基調判断を「悪化」と下方修正した。内閣改造を終えた福田首相は、休む間もなく、総合的な物価・景気対策を週内にまとめるよう指示を飛ばした。景気への不安に応えるため、スピード感をもって取り組んでもらいたい。
そこで忘れてはならないのは、90年代の「バラマキ財政」を繰り返さないという大原則だ。バブル崩壊後、公共事業などに総額100兆円以上を投じた景気対策は、期待されたほどの効果がなかったばかりか、膨大な借金を国家財政に残した。
その結果、今では社会保障を毎年切りつめ、大幅な増税をしなければ将来の財政均衡さえ見通せない惨状だ。
ところが、新しく自民党幹事長になった麻生太郎氏からびっくりするほど露骨な発言が飛び出した。 11年度に基礎的財政収支を黒字化するという目標は「先送りも選択肢」。新規国債の発行を年間30兆円以内におさめるという、小泉政権以来の財政の歯止めにも「全然こだわらない」。
景気対策のためなら財政再建や財政規律は二の次、三の次と言わんばかりだ。またぞろ、財政の大盤振る舞いでてこ入れしようというのだろうか。 対策が必要なのは分かるが、借金に頼るのでは今の痛みを和らげる薬を将来世代へのツケで買うことに等しい。子や孫たちはすでに十分すぎるほどの借金を背負わされている。
麻生氏は「ポスト福田」の最右翼と目されている。近づく衆院の解散・総選挙を意識して、発言のアクセルをふかしているのかもしれない。だが、いきなり歴代政権の最低限の財政再建目標をなし崩しにしようというのでは、首相候補としていかがなものか。
物価や景気対策は新たな借金に頼らず、今年度予算の予備費3500億円、昨年度予算の剰余金のうち使用可能な約3千億円などの財源から工面するのが現実的ではないか。
原油(fuel)と食糧(food)の高騰による「FFインフレ」で、世界規模で価格調整が進んでいる。これに適応できるよう日本経済の構造を変えていく。これが今求められている対策の王道である。
しかし、実際には材料費や燃料代などの高騰が急激すぎて、価格に転嫁できずに苦しんでいる酪農や長距離トラックのような業界が多い。こうした点で、中小企業の当面の資金繰りを支える緊急の融資制度なども必要だろう。
民主党はどんな対策を考えているのか。野党の気楽さから「バラマキ」に輪をかけるようでは、有権者の信頼を失う。厳しい財政の下でどう景気を支えるのか。現実的で説得力のある対案を示してもらいたい。(asahi)
確かに麻生幹事長の言うのも、全く解からないでもないが、これでは2・3ヶ月で吸収されてばら撒きと言われても仕方がない。選挙目当が明々白々である。
政府の対策としては、緊急性と効果を厳しく精査すると同時に、省エネ促進や流通段階の高コスト改善など、日本経済の体質強化につながる工夫を、ぜひ盛り込んでもらいたい。
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