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2008年7月16日 (水)

雲と思いで

今日の名言

どんな大金持でも、贈り物のことになると、妙にしみったれて、出し惜しみする人がいるもんよ。

『サキ傑作集』

15401雲ひとつ浮かんで夜の乳房かな 浅井愼平

無季句。季語はないけれども厳寒の冬ではなく、春あるいは夏の夜だろうと私には思われる。まだ薄あかるく感じられる夜空に、白い雲が動くともなくひとつふんわりと浮かんでいる。雲というものは人の顔にも、動物の姿などにも見てとれることがあって、それはそれでけっこう見飽きることがない。

雲は動かないように見えていて、表情はそれとなく刻々に変化している。この句の場合、雲はふくよかな乳房のように愼平には感じられたのであろう。対象を見逃さない写真家の健康な想像力がはたらいている。

遠い夜空に雲がひとつ浮かんでいて、さて、目の前には豊かな乳房があらわれている――という情景ととらえてもよいのかも知れない(このあたりの解釈は分かれそうな気がする)。そうだとしても、この句にいやらしさは微塵もない。夜空の雲を見あげる写真家の鋭いまなざしと、豊かな想像力が同時に印象深く感じられる。

カメラのピントもこころのピントもぴたりと合っていて、確かなシャッターの音までもはっきりと聞こえてきそうである。「色のなき写真の中のレモンかな」という別の句にも、同様に写真家によるすっきりした構図といったものが無理なく感じられる。『夜の雲』(2007)所収。(八木忠栄)

雲の動きを見ていると、色々な、表情が思い出される。私の子供の頃、母親に手を引かれ夕方の町を歩いた時にどんどん流れる黒い塊の雲が人間を連れ去さってしまうのではないかと思うくらい怖い思いがし、母親の手をしっかり握ってしまった。

夏の入道雲、黒い台風雲、秋の鰯雲、冬の雪雲、梅雨時の雲、など夫々の表情があって面白い、そこに人の想いがあって、詩ができ、画ができる。

山の上の雲、遥か遠くの雲を眺めていると、孫達はあの雲の下にいる、今元気にしているのかな・・・。

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