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2008年7月31日 (木)

誰が世界を保護主義から守るのか

Sira61世界経済はここに来て、局面を迎えた。原油暴騰・穀物高騰・アメリカのサプライムローンなど、そしてアメリカ景気は影をさしてきた。一国支配いやG8の力は、いまやブリックス諸国無しには世界経済を語れない。そしてイスラム諸国の金余りと増え続ける人口で、アフリカ開発途上国、相当に世界経済は、見極めが難しい。

スイスのジュネーブで、開かれた、ドーハラウンドを年内妥結すべくで行われた、WTO(世界貿易機関)日本の位置づけは、そして先進国、日本の役割は果たされたのか、甘利経済産業大臣は、寝る暇もなく、橋渡し役に奔走したと言うが、交渉決裂となった原因はアメリカとブリックスの新興国達の、力学的構造の支点が違ってきたのだ。発展途上国と先進国の中間に位する。新興国にも言い分があり、調整役の日本は、何をしたのか、日本の保護防衛に心血注いで世界をリードするところまで、余裕がなかったのかもしれない。

日本では、福田康夫首相の内閣改造で自民党内外でも大騒ぎであり、甘利経済産業大臣・若林農林水産大臣の11日間の交渉結果報告を受けて、どうやら8/4頃発表になるらしい。

日経新聞の社説でも以下のないようである                                   保護主義という名の亡霊が息を吹き返そうとしている。世界貿易機関(WTO)の閣僚交渉が土壇場で決裂した。貿易自由化を進めるはずの多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)は当分、凍結が避けられない。世界経済の成長を支えてきた自由貿易体制が大きな危機を迎えた。

決裂の直接的な原因は、米国が農業問題で中国、インド両国と対立したためだ。それぞれ10億人以上の人口を擁する両国は、米国の農業にとり巨大な輸出市場となる。逆に中印は自国の農業を守りたい。先進国の代表である米国と、新興経済大国の対立は先鋭化する一方だった。

米欧などの先進国が国際ルールづくりを主導し、途上国が従う時代は終わった。今回のWTO交渉の挫折は、その世界秩序の力学が変化した冷徹な事実を語っている。

交渉では米国と欧州連合(EU)が譲歩案を示した。大筋合意への道筋が見えた局面もあった。だが途上国代表を自任する中印が合意案に反発。いわば「拒否権」を発動する形で交渉はあっけなく頓挫した。

中印だけでなく、ブラジルも主要な交渉国として常に議論の中心に座り続けた。指導力が薄れた先進国に代わって存在感を見せつけたのは、これらの新興経済大国である。グローバル化が進むほど、世界経済の秩序を統治する力は拡散する。国際ルールづくりは、今後ますます難しくなると覚悟しなければならない。

日本の働きはどうか。今年の主要国(G8)首脳会議の議長国である日本には、米欧や中印以上にWTO交渉に深く関与し、大筋合意に向けて貢献する責任があったはずだ。

実際には、農業分野の防戦に躍起になるだけで、交渉の流れにすらついていけなかった。本来ならアジアの仲間の中印と米国の間に立ち、進んで調整役を買って出るくらいの意欲を持つべきではないか。

海外市場と貿易で経済成長力を保つ日本が、途上国に「保護主義国」と呼ばれるようでは情けない。交渉決裂に胸をなで下ろした農業関係者や政界の農林族もいる。農産品の関税削減は先送りとなるが、安心している場合ではないはずだ。

高齢化と生産性の低迷に悩む日本の農業は存亡の危機に直面している。今こそ農業改革に果敢に取り組むべき時だ。耕作放棄地の対策や次世代の農業担い手の育成、企業の参入機会の拡大などを早急に進めなければならない。

日本農業の行く末を真剣に案ずるのであれば、進むべき道は市場閉鎖ではない。耕地規模を拡大する改革と、高率関税に頼らずに農家を支援する方策を考える必要がある。

米国で来年、オバマ大統領候補が率いる民主党政権が誕生すれば、同国の経済外交は、保護主義の色彩が一段と強まるだろう。オバマ氏は米国内の雇用保護を理由に、北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓自由貿易協定(FTA)などの見直しを明確に主張しているからだ。

EU内でも、保護主義が台頭しつつある。サルコジ仏大統領は、域内農業が不利益を被るとして、合意を急ぐマンデルソン欧州委員を名指しで批判した。

WTO交渉が再開できても米欧の内部事情をみる限り、今まで以上に各国の意見の調和は難しくなる。米欧に次ぐ経済規模の日本などは傍観者であってはならず、果たすべき役割と責任は大きい。

多国間のWTO交渉の難しさに嫌気が差し、二国間のFTA戦略を加速する国も増えるだろう。だがFTAはWTOを補完する手段である。米欧や中国などの大国の主導で、特定の国々だけで貿易を自由化するFTAには、排他的な側面があることを忘れてはならない。

世界全体が自由貿易の恩恵を享受できる新たな枠組みは、約150カ国・地域が加盟するWTOでしか築けない。各国が保護主義に走り、FTA競争だけに猛進すれば、自由貿易体制の進化は望めない。

第二次大戦の終結後の世界経済の安定を目指すため、世界各国は1944年にブレトンウッズ体制を打ち立てた。同体制の下で戦後の世界経済の柱として設立したのが、国際通貨基金(IMF)と世界銀行、そしてWTOの前身である関税貿易一般協定(GATT)だ。

世界各国は60年代のケネディ・ラウンドや、70年代の東京ラウンド、80―90年代のウルグアイ・ラウンドまで、何度も自由化を目指して難交渉を重ね、保護主義の誘惑と闘ってきた。その努力の積み重ねの結果、実質国内総生産(GDP)でみた世界経済に占める貿易の比率は、06年には25%に達した。

今ここでドーハ・ラウンドを立ち消えにし、自由貿易体制を後退させてはならない。日本を含め各国は気を緩めず、早期再開に動くべきだ。

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