介護のこと
今朝の朝日新聞社説「介護の人材ー賃金の改善を最優先に」を読んで
実際の年寄りを抱えて、大変な思いをしている家族のことを本当に考えているのか、また誰だって、介護師のお世話になるのである。このことを思って、「必要があると認めるときは、必要な措置を講じるものとする」。不真面目な、表現の法律だ。
私も、両親、長兄の夫婦の終末期のすざましい闘いをかいま見ているが、言葉に表さない壮絶な思いがある。そして、亡くなった義母が施設にお世話になっているときに言った言葉が忘れられない。本当の親切にしてくださった介護師の○○さんが、結婚するので辞めるとの報に涙して話した。「どうしてなの」の答えに「介護師は給料が安く、結婚しても食べていけないので、別な職業に探すというのだ」なんとも情けない。
今まで一家の大黒柱で、支えてくれた両親は、最後は子供たちでは、介護で来ず、施設にお願いするしか方法がなかった。家の事情もあった。もし面倒を見るというなら、会社を定年を待たずに辞めるしか方法がなかった。(実際そういう人もいるそうだ)
今の行政の年金・後期高齢医療制度に、もの凄く不安である、誰だって誰かの介護の面倒を見てもらう終末期は、必ずやって来る。
このことは社会問題であり、また、一番不安な気持でいる方が多いと思う。人間は動物であるが唯一自分の必ず死ぬということ分かっている動物である。世の中「安全・安心」が保障される政治行政がなされる事が人間の本当の政治と思うが・・・。
社説内容 「来年4月までに、必要があると認めるときは、必要な措置を講じるものとする」
何ともとぼけた表現の法律が今国会で成立した。介護を担う優れた人材を確保するための法律なのだが、条文はたった1条だけで、中身がない。
介護の現場の人手不足は深刻さを増す一方だ。現在100万人あまりが働いているが、毎年20%が辞めていく。景気が回復している都市部が特にひどい。介護保険が始まった00年以来、増え続けてきた訪問介護の事業所も、人が集まらないのと経営難で、去年12月ごろから減少に転じている。 不安なのは、介護福祉士を養成する各地の専門学校や大学で定員割れが続いていることだ。
厚生労働省によると、07年4月の定員合計2万6千人に対し、入学者は64%にすぎない。07年度中に12校が養成課程を閉鎖した。若者が介護の職場をめざそうとしなくなったのだ。介護職員の平均月収は20万円あまり。重労働なのに、他の仕事より10万円以上低い。介護保険制度研究会の調査では「賃金が低い」が退職理由の1位で、他を大きく引き離している。身分も不安定で半数近くが非正社員だ。多くがワーキングプアのような状態に置かれて、将来の夢が描けない。
介護職員の人件費を含め、介護サービスにかかる費用は政府が決める介護報酬でまかなわれている。 介護保険の利用者が年々ふえ、介護報酬の総額がふくらみ続ける。それを抑えようと、厚労省は2度にわたって介護報酬を引き下げた。賃金が低いのは、それが原因だ。財政面にばかり気を取られているうちに、担い手が次々に逃げ出している。
現在410万人いる要介護認定者が10年後には600万人を超える。少なくともあと50万人の介護職員が必要だ。このままでは、せっかくの介護保険制度が人材面から崩壊しかねない。 法律がいう「必要な措置」の最優先は、賃金を上げることだ。介護報酬を上げたうえで、値上げ分が確実に人件費へ回るよう工夫したい。
問題は財源だ。介護報酬は、9割を保険料と税金から支出し、1割を利用者が負担する。保険料も自己負担も限界に近いので、ここは税金からの支出を考えざるをえない。そのために、予算配分を見直す必要がある。
世界で例のないスピードで高齢化が進む。限られた予算をこれまでと同じ配分でダムや河川や道路などに使うのか、介護や医療、教育へ大胆に移すのか。国民も選択を迫られている。 もしそれでも足りなくなったら、増税も避けられなくなるだろう。 介護の担い手とサービスを守るためには、私たちも少し、ふところを痛める覚悟が必要かもしれない。
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