無常迅速
今日の名言 もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ。 |
マルクス・アウレーリウス『自省録』 |
花季は、はなどきとルビがある。一九九五年に七五歳で亡くなられる三年前の作。自分の生れた月が来て、ひとつ歳を取り、つづいて桜の季節が来てそれも過ぎて行く。無常迅速の思いか。
実作者としての立場から言えば、「それも」の難しさを思う。こんな短い詩形の中で一度出した名詞をさらに指示してみせそこに生じる重複感を逆に効果に転ずる技術。晩春の空気の気だるさにこの重複表現がぴったり合う。
森澄雄の「妻がゐて夜長を言へりさう思ふ」の「さう思ふ」も同様。こんな「高度」な技術はその作者だけのもの。誰かが、「それも過ぐ」や「さう思ふ」を使えば剽窃の謗りをまぬがれないだろう。野澤節子は三月二三日に生まれ、四月九日に逝去。没後編まれた句集『駿河蘭』の帯には「野澤節子は花に生れ花に死んだ」とある。『駿河蘭』(1996)所収。(今井 聖)
山在りし つつじの花の 色の中
青紅葉 木漏れ日揺れる 石たたみ
五月風 いらかに光る 建長寺
無常迅速といえば、60歳代は、夢のように過ぎてしまった。人生に悔い無しとはいかない。反省してみても遅い。鎌倉の建長寺は、何度か訪れたが、このお寺は、そういった人生の懺悔をするようなところのような気がしてならない。
建長寺は、 鎌倉五山第一位の臨済宗建長寺派の大本山。 建長5年(1253)北条時頼が蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)を開山として創建した、わが国最初の禅の専門道場。
最盛期には塔頭が49院あったが火災により焼失。現存する建物は江戸時代以降に再建または移建されたものである。
総門、三門、仏殿と一直線に並ぶ伽藍の周囲を10の塔頭寺院が取り囲む。 寺宝も豊富で木造漆塗りの須弥壇、木造北条時頼坐像などの国重文がある。絵画、書の優品も多数。境内は史跡。という事だ。
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