世界で注目の中国
今世界の国々が、注目されている中国、日本の長野での聖火リレーは、無事に終った?かも知れないが、応援に集まった中国人留学生の行動をめぐり日中の間で評価が大きく分かれている。日本では日中友好運動に長く携わってきた人々にも、おおむね不評だ。
留学生たちが中国国旗で沿道を埋めチベット支援者と小競り合いを起こしたことに「日本人の反感を買っただけ」と嘆き、日本の対中感情悪化を心配する。中国人の間では、冷静に日中関係を見守ってきた人々の中でも支持する意見が強い。聖火リレーに対する、しつこい妨害やチベットの肩を持つ「西側報道」に若者たちが愛国心を募らせ、立ち上がったとみる。
三年前の「反日」デモでは、ともに日中関係の険悪化を憂い、感情的な民族主義への懸念を共有した中国人研究者の中でさえ、留学生批判には反発が強い。
それにしても、報道が統制されている中国とは違い、多様な情報や意見に触れているはずの留学生の中から、チベット支援運動に示された激しい敵意は一体、何だったのか。
各地の大学で留学生と交わり、彼らの冷静で理性的な態度に感銘を受けてきただけに、あらためて考え込まざるを得なかった。
チベット騒乱から聖火リレーまで、中国の内外で示された激しい愛国心。今後の日本、いや世界と中国の関係にとって、もっとも手ごわい課題が、中国ナショナリズムへの対応であることを、あらためて示した。
日本の年配の政治家は、中国を昭和11・2年頃の日本のナショナリズム時代のようであり、その時代の日本を彷彿させられると言う。
そして、歴史的な出来事になるが、胡錦濤・国家主席がやってくる。前任の江沢民氏以来、最高指導者の日本訪問は実に10年ぶりという。
「来年を日中関係、飛躍の年にしたい」。昨年暮れ、北京を訪問した福田首相は温家宝首相にそう語った。胡氏の来日に続き、北海道洞爺湖サミットや北京五輪もある。中国との外交に長年心を砕いてきた政治家としての、決意を込めた言葉だったに違いない。
それから、わずか4カ月余り。あのころ日中間に吹いていた順風はすっかりやんでしまった。中国製冷凍ギョーザの中毒事件、チベット騒乱と聖火リレーの混乱、東シナ海のガス田開発をめぐる行き詰まり。「飛躍」どころか、冷え冷えとしたすきま風が両国の間を吹き抜ける。
そんな中、NHKニュースによると、胡錦涛国家主席は3日、北京大学で行われた座談会で「愛国の情熱は学習や仕事に振り向け、社会の安定を維持する自覚を持たなければならない」などと述べ、若者の愛国心が行き過ぎることのないよう呼びかけたとの事である。
今や中国なしで世界を語れない時代となった。日本のアメリカ一辺倒から、北東アジアに視点を置くことの重要性は、否めない事実だ。
(参考は東京・朝日新聞・NHK)
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