益々巧妙化してきた詐欺師
相手に信頼される、市役所・税務署・警察などの最も影響力のある肩書や機関名が利用される。そして世の中には、なけなしの年金や医療制度に頼って暮らすお年寄りに対してもこの悪知恵を用いる憎むべき連中がいる。
後期高齢者医療制度や年金制度の混乱が続くなか、市町村や社会保険庁の担当者を名乗る振り込め詐欺が急増しているという。医療費や年金の「還付金」があると偽り、銀行の現金自動受払機(ATM)を操作させ、振り込ませる手口だ。
実際の手続きではATM操作を求められることはない。なのに電話の指示に従ってしまうのは「手続き期限が迫っている」などと相手を動揺させる巧妙な手口のためという。ATM操作では当人が気づかぬうちに振り込みをさせられた例も多い。
人の心の弱みにつけ込む詐欺師には、年金や医療制度をめぐる高齢者の不安や不信こそ悪事の温床なのに違いない。ろくな説明もない医療制度の改変や、ずさんな年金行政は、振り込め詐欺の材料を次から次へと提供してきたようなものだ。
来月には振り込め詐欺に使われた銀行口座を凍結し、そこのお金を被害者に返す救済制度が始まる。ただそれとて被害者にしっかり知らせる仕組みを欠けば、新手の還付金詐欺に利用されかねない。恐るべきは人の悪知恵だ。
還付金詐欺の月別統計がとられるようになったのは、昨年(2007年)の1月からである。法改正によってATMでの10万円を越える現金振り込みができなくなったことや、“オレオレ詐欺”が広く知られてきたことから、新たな方法として“還付金詐欺”が台頭してきたともいわれている。
いわば相手は詐欺のプロ。いくらニュースや新聞記事で詐欺事件のことを見聞きしていても、いざ自分の身にふりかかってきたら、冷静さを欠いてしまうのも無理はない。
防御策として、先ず落ち着いて自分ひとりの判断で、大金を振り込まない事である。必ず夫や、妻に相談することである。我が家ではそう決めている。
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