テレビの大食い番組は止めて
3/30毎日新聞 「余禄」「二人の食卓」
20円で何が買えるだろう。近くのコンビニエンスストアで軽食類の棚を見渡すと、一口サイズのチョコレートやミニパイが税込み1個21円だった。口寂しい時に手ごろだが、内臓脂肪や血糖値がちょっと気になる。
20円あれば、飢餓に直面するアフリカやアジアの国々では、学童1人が1回給食を受けられる。飽食する先進国の大人たちが、食費の一部を給食支援に回して「食の不均衡」を解決しよう。そう呼びかけている国際貢献活動が「テーブル・フォー・ツー」(2人の食卓)だ。
世界経済フォーラムに参加した日本人グループが提唱した。これに共鳴する企業が、昨年から次々協力している。社員食堂に低カロリーメニューを設け、代金のうち1食につき20円を、世界食糧計画(WFP)を通じた寄金に充てる。毎日新聞社も4月1日から参加する。
途上国の貧困や政治混乱はなお続く。バイオ燃料の原料として注目される農産物の価格が高騰し、危機的状況はさらに広がりつつある。日々の食に事欠く地域の子供たちにとって、学校に行けば給食があるというのがどれほど心強く、うれしいことか。
日本の学校給食も明治時代に、不作にあえぐ東北地方の欠食児童対策として始まった。太平洋戦争後には食糧難の都会っ子救済から復活した。いま50~60歳代の人なら、脱脂粉乳の給食にほろ苦い思い出があろう。そんな体験を持つ日本が、先頭に立つ意義は大い。
ヘルシー食で肥満や生活習慣病克服、の狙いもあるが、それはおまけと思えばいい。飢えた子供たちと同じ食卓を囲み、食事を分かち合う心を持ち続けたい。思いやる気持ちの一層の広がりを、切に願う。
それにしても、最近テレビの視聴率を上げることで、命を賭けているいるような感じさえうける番組が多すぎると思うのは私ばかりではないだろう。
特に、夕方5時17分より、TBS・日本放送・フジテレビなどは、大食いする女をタレント化してまでして番組を盛り上げているようだ。何時もこの時間が来たら、チャンンルを変えるのである。満足に3度の食事すら出来ない国もある。いや日本だって、食べられない子供もいる。このことをデレクターの方や、スタッフの方は考えたことが、あるだろうか?
閉店で大きな食堂などのゴミ箱をあさる、ホームレスの人もいる。消費は美徳・飽食の時代と言われてきたが、日本の食糧需給率40㌫未満だそうだ。殆どが輸入である。その輸入がバイオ燃料に変換されて行くという。時代は確実に変わっている。むかしから食べ物を粗末にすると目が潰れるといわれ、尊い物と教えられてきた。
米は、八十八の手間が掛かる。簡単に手に入るが、それだけ崇高な物だということを教育の現場で教えてもらいたい中である。もっともっと、エンゲルケースは上がる前に、対策を考える事と、優しさと他人を思いやる人間社会を作るうえでも、大食い競争のような番組は、やめて欲しい。