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2007年12月18日 (火)

新しい道徳教育への提言(2)

今日の名言

子供は眠っているときが一ばん美しい。

キェルケゴール『不安の概念』

07akitakoma_sumire11

いま、道徳教育の必要性が大きく取り上げ、問題視されてきつつある。そこで、下記資料を基に勉強してみたい。(シリーズ)

監修/上寺久雄(元兵庫教育大学学長)

編集/山口彦之(東京大学名誉教授)

発行/世界平和教授アカデミー (2007-1-20刊行)

1、国は教育を政策の柱に据えるとともに、家庭の強化を訴え、そのための行政措置(少子化対策、結婚奨励、減税対策など)と法的整備を行う。

・国の礎は人であり、家庭は最初の人格の陶冶の場である。家庭が堅固か否かによって、国の未来が決定されるといっても過言ではない。特に資源の乏しい我が国では、人づくりとその基盤となる家庭の強化こそ、国の施策の最優先課題でなければならない。

・教育は、世代を経なければ、明確な成果は現れてこない。青少年問題の深刻化だけでなく、現在の社会全般の腐敗現象は、戦後教育がもたらしたものである。教育の荒廃、モラル(倫理・道徳)の崩壊は、経済以上に深刻な問題であり、政治・経済問題以上に、大胆に改革を進めていかなければ、21世紀の日本に希望はない。

・人は家庭の中に生まれ、その中で国の文化的遺産を学び、モラルの基本を身につける。にもかかわらず、戦後50年余りの間、家庭の崩壊が進み、社会全体がモラルを失ってしまった。最近の政治、経済、社会の混迷の根底には、こうしたモラルの崩壊がある。それは戦後、利己的個人主義が蔓延し、家族(家庭)を軽んじた法・社会制度のもとで、モラルの問題に触れずに施策を推進してきたことに一因がある。

・健全な家庭は、健全な性道徳なしにはあり得ない。また、健全な家庭の基盤を抜きにして、青少年問題、少子化問題、高齢化や福祉問題への解決の道も見出すことはできない。単なる制度改革だけでは、21世紀に向けた抜本的な問題解決のビジョンを示すことは不可能である。米国では、「家族の価値」を尊重するとともに「家庭の強化」を施策の柱としており、最近、英国も同様の施策を実施しつつある。

2、初等・中等教育に新しい道徳教育を導入する。

・教育基本法は、個人主義の考え方に立っており、専ら個人の尊重を謳っている。しかし、日本を含む東アジアの伝統は、家族関係の尊重である。21世紀においては、個人の尊重と家族の尊重とを調和させた新しい考え方に立つとともに、それを基盤として世界に開かれた健全な愛国心、人類愛を育むべきである。

・人格形成の途上にある青少年にとって、「心の教育」の柱となるのは道徳教育である。道徳性は、教育や生活体験を通してはじめて啓発される。すなわち、人格は、子供の内在的な力のみによって、自動的に完成に向かうものではなく、家族や学校、地域社会の支援、適切な指導による啓発がなければ完成させることはできない。

・しかるに、戦後教育学の主流の一つに、デューイ教育学があった。その核心は、道徳教育の否定、自己決定の方法である。これは、子供たちに善悪については全く教えず、自ら考えさせるというものである。しかし、この方法を先駆けて実践してきた米国では、それが失敗であったことが明らかになっている。親や教師が善悪の価値観を教えるという責任を放棄した結果、子供たちの道徳性は低下するとともに、子供たちは自ら考えるのではなく、もっぱら軽薄なマスメディアの影響を受けるようになったのである。

・道徳教育が行われなくなった背景の一つに、「価値相対主義」がある。これは、人間を超えた存在を認めないところから生まれてくるもので、善悪の価値は個人の好みの問題であり、普遍的価値は存在しないという考え方である。しかし、人類に共通する普遍的な価値は存在する。それらは尊敬、責任、信頼、正直、公正、寛容、勤勉、節制、気配り、正義、勇気、奉仕、犠牲などである。これらの価値(徳性)は、社会的存在としての人間の本性にかなうもので、普遍性をもっていると考えられる。

・道徳の問題は、自らの良心に基づく善悪の価値判断と実践の問題である。すなわち、善悪の前提となるのは、人間のみに与えられた選択の自由である。したがって、道徳は、良心に基づく真の自由の問題と言えよう。道徳教育には、道徳的知識とともに、善悪を識別する道徳的感情と直観力および意志力を養う必要がある。それには、人間のもつ感性に訴えながら、意識下(無意識)の世界に働きかけて、生活と体験の中で道徳心を育成していくこと、またアカデミックな教科学習だけではなく、芸術・文学・映像文化など、感性に訴える教育が大切である。更に、よい行動習慣の形成を通して、意志力を訓練することが求められる。

・道徳教育は、「人格教育」そのものであり、「心の教育」の柱となるものである。米国では、このような教育がCharacter Educationとして全国に広がり、大きな成果を挙げつつある。それは、真の意味の「自尊心」(self-esteem)を高め、自らの良心に従った、理想を持つ生き方の教育である。我が国もそのような教育を早急に導入すべきである。

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