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2009年7月 8日 (水)

中国新疆ウイグル自冶区の暴動

Sira71中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチは、「美しい牧場」という意味のシルクロードのオアシス都市だ。

中国と言えば世界第2位の経済大国までなって人口は13億人と言われている。歴史的にも少数民族の争いは、絶えなかったようだ。今回も、昨年の北京オリンピックの都市にチベット自冶区で起きた暴動や今回の暴動には、民族・宗教の争いからの衝突からだ。これからの中国の発展と安定維持は、世界から注目される。

この地域は18世紀に当時の清朝に征服され、19世紀に新しい領域という意味の「新疆」と名付けられた。1930年代から40年代にかけては、ウイグル族による「東トルキスタン」建国を目指す独立運動が2度あった。

新中国の新疆ウイグル自治区となってからは、漢族移民が急増した。文化大革命中にはイスラム寺院が破壊されたり、教典が焼却されたりして、ウイグル族は不満を募らせてきた。

自治区は国防のうえで重要な国境地帯にあり、全国土の6分の1を占める。石油や希少金属などの鉱物資源にも恵まれている。中央政府は領土保全を優先するあまり、そこで暮らす人々の心情への配慮を怠ってきた。

1949年には自治区に25万人しかいなかった漢族が、今は800万人を超える。軍人を含めれば最大の民族集団といわれている。ウルムチではすでに漢族が人口の大半を占める。

毎日新聞社説・・・中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで大規模な民族暴動が起きた。当局の公表した死者数は150人を超え、負傷者は1000人以上。死者数では昨年春のチベット暴動を上回る。

暴動後、警察が多数のウイグル人を連行したため新たな抗議デモが起きている。一方、漢民族の対抗デモも起き、民族対立の不穏な様相だ。

中国は今年秋に建国60周年を迎える。いまや世界第2位に迫る経済大国に成長した。だが、チベット、ウイグルという建国以来の民族問題をいまだに解決できないのは、民族自治を尊重しようという寛容さに欠けているからではないか。

 今回の暴動の背景にあるのは、少数民族に対する人権抑圧だろう。主要8カ国首脳会議に出席する胡錦濤国家主席は、国際社会に向かって武力弾圧一辺倒ではない問題解決の道筋を示してもらいたい。

 事件の全容はまだ明らかでない。これまでの報道によると、発端は広東省で起きたウイグル人出稼ぎ労働者襲撃事件への抗議行動である。インターネットを使った呼びかけに応じて、ウルムチ市内の公園で抗議集会が開かれた。それを鎮圧しようとした警備当局と衝突になり、暴徒化したウイグル人が漢族の通行人を襲い、バスなどに放火したらしい。

昨年、カシュガルで起きた国境警備隊襲撃事件については、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)によるテロとされ、イスラム教徒の弾圧監視が行われた。

今回は、亡命ウイグル人で組織する世界ウイグル会議(本部ドイツ)が主導した国際陰謀のせいにしている。だが、人権侵害に対する抗議行動を警備当局が力で抑えつけようとしたのがそもそもの原因ならば、ウイグル人の不満解決なしに治安が回復することはないだろう。

ウルムチはウイグル人の居住地区と漢民族の居住地に分かれている。言語、宗教、生活習慣が違うだけではない。民族の違いによる所得格差が歴然としている。同じことはチベットでも言える。民族自治区域において、その土地の少数民族が貧しく、外来の漢民族が豊かなのは、民族政策に問題があるのではないか。

治安の悪化は、少数民族地域だけではない。中国全土で住民と警察の衝突が増えている。1000人を超えるデモや集会は5月だけで約2万5000件に達し、過去最高記録を更新したという。人権侵害への抗議や労働争議が増えたためだ。

世界が中国の成長力に注目している。中国の成長維持は、社会の安定を維持できるかどうかにかかっている。社会の安定をはかる真の力は武力ではない。寛容な政治である。

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