富士山の伏流水
人は自分の魂の平穏のために毎日ふたつの嫌な事をせよ。 モーム『月と六ペンス』
手を入れて水の厚しよ冬泉 小川軽舟
液体に対してふつうは「厚し」とは言わない。「深し」なら言うけれど。水を固体のように見立てているところにこの句の感興はかかっている。思うにこれは近年の若手伝統派の俳人たちのひとつの流行である。
長谷川櫂さんの「春の水とは濡れてゐるみづのこと」、田中裕明さんの「ひやひやと瀬にありし手をもちあるく」、大木あまりさんの「花びらをながして水のとどまれる」。水が濡れていたり、自分が自分の手を持ち歩いたり、水を主語とする擬人法を用いて上だけ流して下にとどまるという見立て。「寒雷」系でも平井照敏さんが、三十年ほど前からさかんに主客の錯綜や転倒を効果として使った。
「山一つ夏鶯の声を出す」「薺咲く道は土橋を渡りけり」「秋山の退りつづけてゐたりけり」「野の川が翡翠を追ひとぶことも」等々。山が老鶯の声で鳴き、道が土橋を渡り、山が退きつづけ、川が翡翠を追う。
その意図するところは、「もの」の持つ意味を、転倒させた関係を通して新しく再認識すること。五感を通しての直接把握を表現するための機智的試みとでも言おうか。『近所』(2001)所収。(今井 聖)
泉は富士山の伏流水で、忍野八海や白糸の滝が有名である。また、湧き水と言うと有名な静岡県清水町である。富士山に降った雨や、雪が地下に沁み込んで60年経って湧き水として再び地上に出てくると言う。
その水は、冷たく、多くのミネラルを含んでいるので、魚などの生物が生息するに条件がいい。
狩野川水系柿田川は一日百万トンの水量を誇る東洋一の湧水を水源に、日本最短の一級河川(1,200メートル)として知られている。誕生は約八千五百年前。また、この柿田川湧水群は、環境庁「名水百選」「二一世紀に残したい日本の自然百選」に認定されている。
豊富な水量に加え、年間一五度前後の一定した水温、そのまま飲める水質。その清流域で営まれる生態系が一つとなって豊かな自然を創りだしている。ミシマバイカモ、クレソンなど15科21種の水生植物と、流域周辺で見られる94科281種類の陸上生物。
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